神戸 新築マンションの柔軟性
そんな状態にあって、東京市場が為替相場の主導権を握るのは、そもそも難しいことだ。
また、日本は人口減少社会に突入している。
このことは、円という通貨を日常的に用いる人の数が、少なくとも日本国内では着実に減少していくという、実に重い事実を意味している。
これに対し、ドルを使用する人の数は、米国が移民を積極的に受け入れつつ人口を増やしていることや、ドルが基軸通貨としての地位を維持していることから、毎年増加している。
また、ユーロを使用する人の数は、少子化対策の成功例であるフランスなど個別国で人口が増加していることに加え、新たに欧州通貨統合に参加する国があることから、これまた毎年増加している。
中国の人民元は、その相場変動が当局の管理によって抑制された状態にあるが、中国の経済規模が将来にわたり拡大を続ける見通しであることや、いわゆる中華経済圏が華僑のネットワークもあってアジアで拡大していることから、アジアで将来、基軸通貨的な役割を担うことになる可能性が高い。
中国がアジアで共通通貨を作る構想に消極的な姿勢をとる背後には、自国通貨の将来に対する自信が垣間見える。
このように日本の金融市場は、株式でも債券でも為替でも、主導権を外国人に握られる場面が多くなり、「外国人依存」の色合いを濃くしている。
それは、日本経済が低成長時代に突入したにもかかわらず、ブレイクスルーにつながる政策が一向に打ち出されないという何とも悲しい実情を、シンボリックに示している現象でもある。
では、どのような政策が「ブレイクスルーにつながる政策」なのか。
本章の最後に、その一事例として、アラン・グリーンスパン前FRB議長が口にした大胆な政策提言を紹介グリーンスパン氏は2008年8月、米経済紙ウォールストリートジャーナルに掲載されたインタビュー記事の中で、「バブルが崩壊した米国の住宅市場では、09年の前半のどこかで住宅価格に下げ止まり感が出てくるものの、低水準で推移する時期は明年を通して、ないしそれ以降まで続いていくだろう」という慎重な見通しに言及した。
その上で同氏は、過剰に積み上がっている住宅の販売在庫を効果的に解消する政策アイディアを口にしておきたい。
人口面で大きなディスアドバンテージ(不利)を抱えている日本は、このままでは通省(の覇権争いという面でも、自動的に敗者になる可能性が高い。
それは、「所得が相対的に高い熟練労働者の移民を積極的に受け入れる」というものである。
米国が受け入れる移民のうち、高い技能を持っている熟練労働者の比率を引き上げれば、住宅の過剰在庫がさばけて需給環境がよくなり、住宅の価格も安定化しやすくなる。
これがグリーンスパン氏のアイディアである。
彼の見積もりによると、米国の世帯数は毎年別万というペースで増加しており、だいたいその3分の1が移民だ。
そのうち熟練労働者の世帯数は、おおよそ賜万世帯。
これを2倍から3倍に増やしてやれば、住宅を購入できるだけの高い収入を得ている人々だから、米国内に住むところを確保するために家を買うはずだ、というのである。
住宅が余って国内経済に悪影響が出ているならば、国内にいる人に住宅を買わせようとして住宅減税を拡充する、というのが普通の発想だろう。
ところが、移民の受け入れに抵抗感がない米国では、「家が余っているなら、家を買うことのできる人を「輸入」すればよい」という発想が生まれるのだ。
グリーンスパン氏自身、このアイディアについて「政治的には難しい」と断ってはいるが、日本とは明らかに考え方のスケールが違う。
この場合、米国人の過剰消費の考え方とは異なり、非常によい意味においてスケールが違うのである。
否定された「デカップリング論」日本経済の最大の特徴は、「輸出依存」である。
人口が減り、少子高齢化が着実に進んでいく中で、人口動態は成長率を押し下げる方向で、着実に作用してくる。
そのため、日本の企業(製造業に限らず)は、国内市場の先行きにいわば見切りをつける形で、輸出を含む海外での売上高の比率を引き上げることにすでに注力している。
主戦場は、高度成長期にあるアジアなどの新興経済諸国。
いまや海外売上比率が5割を超える日本企業も珍しくなくなった。
したがって、日本の景気が輸出の増減に左右される度合いは、必然的に大きくなる。
ここ数年の動きを見ると、そのことは容易に確認できる。
日本経済の輸出依存は、大胆な人口対策が今後とられでもしない限り、人口動態から見て、もはや宿命に近い。
米国が風邪をひくと日本も風邪をひく。
別のグラフからわかるように、輸出の増加が続くとともに鉱工業生産も増加し、景気は拡大を継続した。
この流れが変調をきたしたのは、2007年秋から20年初めにかけての時期である。
実質輸出は88年1月にピークをつけた後に変調が生じ、水準を緩やかに切り下げている。
鉱工業生産は18年2月にピークをつけて、低下に転じた。
そして、内閣府は18年8月の月例経済報告で、景気がすでに後退局面入りしていることを事実上認めるに至った。
さて、世界経済は多極化したと言われているにもかかわらず、「日本経済は程度の差こそあれ、昔もいまも、直接的および間接的に米国経済への依存度が高い」というのが筆者の考えである。
このことは、米国の景気後退局面を調べて、それと対応する時期の日本の景気後退局面を探してみれば、すぐにわかる(図別参照)。
「米国がくしゃみをすると日本は風邪をひく」と昔は郷撒されたものだが、より正確には「米国が風邪をひく時には日本も風邪をひく」関係にあると言えるだろう。
なお、米国が風邪をひいていなくても、消費税率引き上げショックや金融システム不安といった日本独自の理由で風邪をひくこともあるので、実際には日本の景気後退局面は、図別で取り上げたものよりも3回多い。
諸国の台頭に伴って、世界経済全体における米国の地位が、相対的に低下してきたのは事実である。
そこで出てきたのが、「米国経済が悪化しても、新興諸国の経済が高成長を続けるので影響は広がらない時代になった」「日本経済は、もはや米国と連動(カップリング)して悪化することはなく、切り離されている」などと主張する、いわゆる「デカップリング論」だった。
これは要するに、米国経済が大幅に悪化しても、中国など高成長をとげている国々への輸出が伸びるから、日本国内の景気への影響は軽微だIとする一種の楽観論である。
こうした見方が、株式市場を中心に2007〜20年に一時もてはやされた背景には、「日本株は米国株に連れ安してほしくない」という一種の希望的観測が多分にあったのではないか。
筆者はそう受け止めている。
しかし、現実の経済の動きが、そうした楽観的な思考を完壁に打ち砕いた。
米国を震源地とする景気悪化と信用不安・金融危機の「負の相互作用」。
それは欧州や日本、さらには新興経済諸国でも景気悪化を引き起こしている。
その特徴は、第8章でも触れたが、例えば中国で北京オリンピックの開催日に株価が急落するなど、「宴のあと」の成長鈍化を市場が先取りして動くというものだった。
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